ナマケモノの飛行訓練

記憶のすべてがかすんでみえる。うろ覚えでつづるひこうくんれん。

アナログ×デジタル=アナログ!?

 仕事のフラストレーションで、ものすごく文章が打ちたくなるのだけれど、如何せん、わたしは言葉を紡ぐのが遅い。

 

 いま、とても忙しい時期で、書籍の組み版が三つと、イラストが200カットくらいの量がある。ひとつは身体の一部の断面図だったり詳細な図解みたいなやつ。医術的な本によくある線画といえばいいのだろうか。もうひとつは低学年向けの分かりやすいイラスト。これがなかなか面倒くさい。

 すごく簡単な男の子だったり女の子だったりで構わないとのお達しなのだけれども、ただ丸い顔に丸い目をつけて半円の口が笑っているわけにもいかず、たとえばアンパンマンのようにシンプルでかわいらしく描こうとおもうと、なかなかそうはならず、妙なこだわりがでてきてしまう。

 

 わたしはすごく小さな会社にいるので、自分の仕事のスピードがどれくらいなのかがわからない。けれど、むかし通った大きめの制作会社での経験をもとに考えると、なかなかの早さなのではないかとは考えている(←自画自賛

 何が納得できないのだかわからないが、細かく色を変えたり図形を動かしたりしながらいつまでも帰ろうとしないデザイナーさんをそこではしょっちゅうみかけたものだ。

 

 だがそれは単純にわたしのほうが要領が良い、ということには結びつきはしないとおもう。なぜなら、デザインやイラストの善し悪しは作成するスピードで計り知れやしないからだ。

  わたしのやり方はたぶん貧乏暇無し人間の苦し紛れもので、しっかりしたやり方ではないのではないかと、時々おもう。

 けれど納得できるまでなんて考えていたら、いつまで経っても終わらないし、終わらなければその上に次の業務が積まれるだけだし、かといえ、代わりに誰かがこなしてくれるようなポジションにはいつまで経ってもならないようだ。わたしの場合は。トホホとな 。

 

 だから制作時間のめどが付けられる組み版のような仕事がけっこうすきだ。特にこの時期は。

 仕事をするに当たって、ごく自然な流れとして、どれくらいまでに納めればいいのかを訊くし、どれくらいまでに出来上がりそうか訊かれもする。そうしてちょっとしたスケジュール調整の駆け引き的なものがあり、それから作業がはじまる。

 時間さえわかれば、むこうもどれくらいで仕上がるかわかるし、こちらとしても物理的に無理な依頼はすがすがしく断れる。

 

 ところがイラストはそうはいかない。これまたわたしの場合は何年経ってもそうはいかない。・・・へたなので。だから、いつも念頭には“描けないかも知れない”という不安が付きまとっている。

 つまりはそういったのっぴきならない理由で、大体の仕事は時間が読めるのだけれど、イラストなどのカットが少しでも入ると、わたしの精神はとても逼迫してしまうのだ。

  時間が読めない仕事ほどキツいものはないとおもうの。あたし。(←少々壊れ気味)

 

 

  ところで、またしてもひとのフンドシなのですけど、

 

 つい先日、akieeさんというかたのところにおじゃましていて、おもったこと。 

akiee.hatenablog.jp

  akieeさんはとても柔らかく穏やかなひとです。日々の生活をのぞいているだけでなんだかほっこりします。言葉の端々からどこか控えめな感じがするのですが、実はピアノを弾いていて、なんと作曲もしているすごいひとです。さらに近頃は、イラストまでちょくちょく描くようになったので、隠し球がまったく無いわたしとしてはakieeさんに限らず、ひとの新しい側面を知ると、すげーすげーと嬉しい気持ちになる反面、ちょっとだけ嫉妬してしまうのです。

 

 そういうことで、akieeさんはイラストを描いていて、わたしの勝手な見解としては、それは決して無理をせず、背伸びすることもなく、自分のペースで楽しんでいるような気がしていたところ、先日、ご本人が「おもねらず描くのは楽しい」といっていたのを聞いて、その言葉に、わたしの目からはウロコ状なものが落ちてきて、溜飲は下がったまま一向に上がってこなくなった。

 

 「阿らずに描く」。いや、描くに限らないのだけれど。やはり楽しむことの本懐はここにあるのだろうなとおもった。わたしはおもねってばかりだが。

 もしかしたら、誰にたのまれもせず、お金も発生せず、あるいは誰かしらが喜んでくれるかもしれないという目的のためであったのなら、医学的な身体の断面図も、当たり障りはないが面白みにかけるカットも、楽しく描けるのではないだろうかと感じた。そしてそれはたぶん間違いないだろう。

 

 絵を描いたり歌を歌ったり詩を創ったり、それからピアノを弾いたりするのは、きっと人類が生きていくのには不必要なことだ。

 ではなぜ、ひとはそれをするのかといえば答えは簡単。楽しいからするのだ。なにもひとが必要としていないことを、好きこのんでやるヤツはいるまい。ひとは時として生きることに関係の無いことをやりたがるものだ。ただ楽しむためだけに。

 

 ということで、そういった一連の会話のなかで、手描きの話題が飛び出してきた。おもえばわたしはかれこれ15年くらいは手描きでなにかを描いていなかった。

 だから描こうかと思い立ってみても、道具すらない。あるはずもない。そればかりか、家でちょっとしたメモを書き付けようとしたときでさえ、鉛筆すら容易に見けることも出来ない始末。自前の筆記用具すら自宅には常備していないことに、その時はじめて気がついた。

 

  昼時にそのことが頭をよぎったので会社にて描いてみた。ついでにどれくらい時間がかかるものなのだろうかと参考までに時間も計ってみることにした。

 デジタルとの差異がわかれば作業時間が読むヒント、というか少しでも解消できればいいなとおもい。なんて、そういうことを念頭に入れている時点で、やはりすでに“おもねって”しまっているのだけれど。 

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  で、これ。正味10分。2Bのエンピツと、校正用の赤と青エンピツしかなかったので、色はこれしか塗れず、わかっていたがぜんぜんおもったように描けなかった。

 それに、消したり線を移動したりするのが容易ではないとわかっていると、複雑なポーズを避けてしまう。指を描くことの失敗を怖れて、手はポケットに突っ込ませてしまった。

  指が震えてまっすぐ線が引けなかったし、なにより紙に描くことがあまりにも久しぶりだったのでサイズ感がわからなくなっているのには自分でも驚いた。

 間違えた線を描いた時に、親指と人差し指が無意識にコマンド+Z(取り消しコマンド)の動きをしていたことは少し笑えた。

 それでも数分で済むことだったので、気晴らしにはなるし、とてもためになったとはおもった。

 

(だが、この時、未だわたしには、この先にキビシイ泥沼が待っていることには、気付きもしなかった。・・・・)

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 これがいつものデジタルで描いたもの。同じく10分程度。とはいえ、鉛筆画をトレースしたかたちになるので、ダイレクトで描こうとすればもう少々時間はかかる。

 ベクターデータはモニターに映えるし、色も塗っているので完成度はもちろん高い。こうなると前のものはやはり下描き扱いになってしまう。となると、スキャンする手間を考えると、もはやアナログでつくったものをデジタルにリリースするメリットがわからなくなる。

 

 

  で!

 ここからわたしはまたひとつの考え、というか挑戦がひらめいてしまった。

 それはまたしてもサラさんのところで話しているなか、 

bougen.hatenablog.jp

 (もう何度もリンク貼っているのでもはや紹介はいたしませんよ、サラさん。)

konma08.hatenablog.com

 (こんぱちさんもここにくるみなさんはすでにご存知ではないでしょうか。)

 

 これまたこんぱちさんも踏まえて会話している流れで、ドット絵の話題になり、そして、お二人とも、むかしドット絵を描いたことがあるというのだった。

 

 わたしは、え!とおもった。ドット絵というのはけっこうニッチな趣味というかジャンルだとおもっていたのだが、どうやらウェブ界隈では結構描いているひともいるのだなとおもった。

 

 考えてみれば当たり前だ。今のようにスキャンしたものやピクセルを気にせず描いたものなどを適当にウェブ上にリリースできることなんて、ここ十数年のことで、それ以前では、なにかしら簡単な図形のようなものですら、デジタルで作るとなるとかなりの制限のもと、それなりの知恵を絞っていたことだろう。

 

 一応わたしも仕事上でドット絵的なものは作成したこともあるとはいえ、ピクセル数の指定も色制限もなかったわけだけれど、実際に仕事をしていたサラさんがいうには、32×32pixの16色というのが基本らしく、ならばとおもい、わたしも上記のイラストを本絵にして、チャレンジしてみようとおもったわけだ。

 

 だが16色というのがどういう色なのかがわからない。まずはデジタルの基本となる16色を検索することからはじまった。

 そして愕然とした。肌色がない!あれ?でもスーパーマリオは肌色だったような?でもわたしは必要以上に検索はしない。グーグル先生で一番始めに出てきたカラーチャートを信じよう。

一応後学までに載せておく。

 

・black【#000000】・gray【#808080】・silver【#c0c0c0】・white【#ffffff】

・maroon【#800000】・red【#ff0000】・purple【#800080】 ・fuchsia【#ff00ff】

・green【#008000】・lime【#00ff00】 ・olive【#808000】・yellow【#ffff00】 

・navy 【#000080】・blue【#0000ff】・teal【#008080】・aqua【#00ffff】

 

 しかたない、肌色は白で代替えするしかない。それにしても普段印刷物を扱っているわたしにしてみれば、この#チョメチョメ×××の数字はわけがわからない。webのひとたちはこんな数字でダイレクトに色を想像できるものなのかしら。それに32×32pixというのは流石に無理そうだ、そこは気にしないでおこう。・・・

 

 ・・・なんて試行錯誤しながら作ったものがコレ↓

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 なんとか形にはなったとおもう(←自画自賛2回目)。はじめはまっすぐな線が描けないことや色数に戸惑いもしたが、次第に四角いピクセルの繋がりが見えてきて、なんとなく形になってくる様が楽しかった。

 

 いや、すごく楽しかった。本当にこれはこれでこだわるひとが未だいる理由もなんとなく解った気がした。これからも時間があれば違うものにもチャレンジしてみたいなとおもった。

 なんとなく懐かしいような色合いにもぐっときた。デジタルなはずなのにかなりアナログ的な作業をしている自分にも、かなり没頭できた。

 

 いや、かなり没頭できた。ひとついえば、没頭するあまり時間を忘れて続けてしまったことだ。

 その間、なんと三時間!

 シロウトがなにか新しいことを始めれば、必要以上に時間がかかることは仕方がない。

 それにしても、なぜこの時期にそんな挑戦をしてしまったのか。

 もう4時ではないか。

 それにもまして、文章も4500字を越えてしまった。

 なにをやっているのだ。仕事しろ仕事!!

 だが学ぶところはあった。

 すごく。

 

 これが、「おもねらずに描く」

 ということなんですね。

 

 それでは仕事に戻ります。