ナマケモノの飛行訓練

記憶のすべてがかすんでみえる。うろ覚えでつづるひこうくんれん。

悲しい顔のニコラス

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 もうおじさんなので、テレビをみていて見知らぬ若いひとがいると、すぐに「これ誰かの子どもだっけ?」とつい聞いてしまう。

  わたしはあまり芸能界に詳しくないので、すぐに「これ誰?なんていう名前?なにか映画に出たひと?」と訊いてしまう癖がある。訊いたところでだいたい知らないひとだったり、どうせ覚えられなかったりして、煩わしい思いさせてしまう。

 芸能界はどうやら世襲制のようなところがあるようなので、子どもよりも親の顔で覚えていることが多々ある。もはや若い子の顔はまったく覚えられなくなっているので、必然、前述のような質問を頻繁にしてしまう。

 

 若い人の顔がわからなくなるのは、歳が離れると、どんどん自分に関わりのない年代になっていくので、同じ顔にみえるらしい。

 そうかもしれないな、とおもう反面、わたしの顔認証システムは、はじめから女のひとを覚えられず、なんなら白人よりもなぜだか黒人の顔のほうが覚えやすいという不可解な特性があるので、この法則はわたしに限っては当て嵌まらないのかもしれない。でないと、わたしが一番親しみを抱いている顔つきは、黒人のおっさんということになってしまう。薄くて平らな顔をしたこのわたしがだ。

 

 それはそうと、つい先日も、テレビにでている若い女の子が好感をもてたので、「これだれかの娘さん?」と彼女に聞くと、「ああ、この子、あれ、なんだっけ、イケメンの俳優の」とどうやら思い出せない様子。

 イケメン・・・誰だ?吉田栄作?ちがうちがう、えーと、橋爪功、じゃなくて。え?橋爪功?いやだからイケメンのおじさんの。イケメンの橋爪功橋爪功をイケメンにした感じの人。違う違う、橋爪功よりもぜんぜんイケメン。いや、橋爪功もイケメンっちゃあイケメンだけど。と、橋爪功さんがバンバン飛び交い、なんなら生涯でいちばん橋爪功さんの名前を口にした日になった。

  結局、その女の子は草刈正雄さんの娘さんだったのだけれど、ああそれなら確かに橋爪功よりもぜんぜんイケメンだ、というわたしの感想もひどいが、正解を知ると、「イケメンのおじさん」というだけのヒントでも、なるほど合点がいくところもある。草刈正雄なら確かに。

 

 有名人の顔と名前が一致しない時には、それぞれ特徴をいうわけで、そうなるとかなり失礼な印象になることが多い。「イケメンのおじさん」などという特徴はものすごく良質なほうで、大概は、「名脇役のおじいさん」だとか「アホそうで実はお医者さん」だとかいうことになる。

 わたしは小栗旬さんの名前がいつも出てこなくて、なぜだか「アゴイケメン」という特徴を連想させてしまう。さらにそうなるとややこしいことに、要潤さんが頭に浮かんできて、たしかに要潤アゴイケメンであるから、いよいよ小栗旬の名前を思い出せなくなる。

 ずいぶん前に、友人とハリウッド映画の話をしていて、どうしてもニコラス・ケイジの名前が出ない時があった。なんだっけなんだっけと言い合ううちに、「ほら、あの、悲しい顔のハゲね」とだれかが言い出した。「そうそう悲しい顔のハゲ」もう思い出したようなものだ、とみんなでいうが、一向に名前がでてこない。ずいぶん考えこんでも思い出せないので、結局誰かが「もう悲しい顔のハゲって名前でよくね?伝わるし」といったのでそこで落ち着いたことがあった。以来、未だにわたしはニコラス・ケイジの名前は急には出てこず、「悲しい顔のハゲ」といってしまう。

 

 思い出すという行為は案外楽しい。だから極力インターネットの力には頼らないようにしている。特に有名人を思い出すことがわたしは好きだ。知らないくせに、結構楽しい。

 だから前に、彼女がなにかの番組の企画でみた『「顔と名前が一致する有名人100人アンケート」の「第十位まで当ててみて」』という問題にも、わたしは異常に食いついて、それを酒の肴に、飲み屋で二時間以上も考えこんでいたことがある。

 結果として、忘れないように書いておくと、

  1. タモリ
  2. 和田アキ子
  3. 安倍晋三
  4. ビートたけし
  5. 明石家さんま
  6. 黒柳徹子
  7. マツコデラックス
  8. 笑福亭鶴瓶
  9. デヴィ夫人
  10. 所ジョージ

 との結果。芸能人に疎いという、わたしの特性を鑑みて、だからこそ上位10人を当てるというのはうってつけだと思い、息巻いて望んだが、結局、ビートたけし明石家さんま安倍総理の三人しか答えられなかった。それも順位は問わずに。

 安部さんはともかく、ビートたけしが4位だった時点で、固定観念に囚われてしまった。ひょうきん族を崇拝して育ったわたしは、当然ビートたけしに対する芸人としての位置づけも崇拝に近かった。だから、彼よりも上位の芸能人がいることがどうしても認められなかった。

 だから、それと同等に功績を残した芸能人を考えると、わたしのなかでは、大橋巨泉上岡龍太郎永六輔坂本九などの、さらに上の世代でしか、思いつかなかった。彼らの名前は100位以内に連ねてすら、いなかったとおもう。それはそうだ。わたしの情報はつねに古い。その古さは、なぜだかわたし自身を追い越して、いつも古い。