ナマケモノの飛行訓練

記憶のすべてがかすんでみえる。うろ覚えでつづるひこうくんれん。

野球がわからない。

 社長がキヨミヤ某の話題を唐突に話しかけてくる。ヒロシマが〜、と続いていたのでどうやら野球の話題とわかる。

 そういえばおじさんが「皆さんご存知の〜」という勢いで野球の話題をふってくる風景、最近はみかけないが子どもの頃はなんとなく不思議におもったものだ。定食屋や飲み屋などで知らないおじさんが父親に脈絡もなく突然野球の話題を話しかける。父親も自然の流れの如くそれに答える。昭和の良き風景。

 わたしは野球がわからない。つまらない、というわけでもなく、わからないのだ。これはもはや呪いかなにかではないだろうかと思うほどに、わたしは野球のルールをぜんぜん憶えられない。

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 スポーツを観るのは全体的に好きなのに、どうしても野球だけは、ルールが覚えられないぶん、楽しさもいまいちわからない。

 試合の流れもわからない。なんとなくテレビをつけてナイター中継をやっていて、なんとなく観ることもあるが、ちっとも球を投げないし、投げたとしてもほとんど打たない。

 画面の端についている数字やアルファベットやらキャプションのようなものも、点数以外に何を表しているのかもわからない。

 ポジションなんかもよくわからない。大体にしろ、英語と日本語表記が混在しているのがいけない。一塁がファーストだったり、一塁手だったり、キャッチャーだったり捕手だったり。

 この間中継を聞いていたら、「うちゅうかん」だとかいうから、てっきり「宇宙間」かな?なんだろう?と思っていたらそれは「右中間」で、つまり「左中間」もあり、だったら真ん中はなんだろうと思い、友人に訊いてみたら、「センターかな?」という。

 たとえば、バッターが打って、すごい勢いでボールが飛んでいくので、わたしは、おおお!すごい!と興奮していると、みんな冷めた目をしていたりして、ああこれはホームランではないんだ、と、なんとなく察して(理由はわからないけれど)、咄嗟に気配を消して居住まいを正さなくてはならなくなる。

 中継も「皆さんご存知の、」という具合だから、逐一簡単なルールを説明してくれる解説者もいないだろうし、ここがこうなると楽しめるというように指南してくれる番組もない。

 前に、オリンピックでフェンシングを中継していて、たぶんフェンシングの認知度が少ないからだろうけれど、解説者のかたが、ものすごく丁寧にわかりやすくルールや見所を説明してくれていて、かなり楽しめた記憶がある。あるいは野球もマイナースポーツの解説のようにしてもらえれば、わたしのように呪いのかった人間にも楽しめるようになるのかもしれない。

優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕 (河出文庫)

優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕 (河出文庫)

 

 少しでも理解が深まればいいなと考え、なにか野球にまつわる本を読んでみようと思い、けれど、専門的なことが細かく記述された本は食指が動かないので、とりあえず、「優雅で感傷的な日本野球」を読んでみたことがある。

 確信犯的にわかっていたことだけれど、高橋源一郎さんが野球を熱く解説してくれるはずもなく、この小説では、やはり野球のルールなど、なにひとつ理解できなかった。ベースボールではなく、あくまで野球のもつ、優雅で感傷的な日本気質なセンテンスは充分感じ取ることはできたけれど。

 未だ呪いは解けないまま。