ナマケモノの飛行訓練

記憶のすべてがかすんでみえる。うろ覚えでつづるひこうくんれん。

絵が描けなくなって久しい

 絵を描く力は失ってしまった。意欲といったほうが正しいか。いやそもそもそんなもの無くして久しい。思えば中学生に上がる頃にはもう無かったのかもしれない。小学校の頃が間違いなくピークだっただろう。

 あの頃は絵を描くことが楽しくてしかたながなかった。三年生の夏だったか。夏休みのあいだにわたしは自ら余分な宿題を課せた。それは「キン肉マン」のオリジナル超人を100人描くことだった。クーラーの無い部屋で汗だくになりながらそれを描いた。

 次の年にはオリジナルの妖怪を描きはじめた。これは六年生までのわたしの密かなライフワークになった。何冊分ものノートに千匹以上は描いただろう。最後のページに「ゲゲゲの鬼太郎」を描いてひとりほくそ笑んだものだ。あれは投函することもなく描き続けた、水木しげる先生への熱烈なラブレターだった。

 中学生にあがる頃にはそのノートは捨ててしまった。今では何も残っていない。オリジナル超人も千匹以上の妖怪も、教科書に描いた思春期丸出しの落書きも。

 なぜ続けなかったのかはわかっている。色気付いたのを除けば、自分が下手くそで、一向に成長しないこと、それにもまして自分自身の絵がどうも好きになれなかったからだ。

 定期的にイラストを作成する。どういう流れかそういう仕事がきてしまうから。「描く」ではなくて「作成」。要するに小学生の頃に培った残滓でなんとかやっている。頼まれるイラストに求められるのは、当たり障りのなさ。

 絵を描いていて楽しいとは思わない。小学生の頃にように、という訳にはいかないという話だ。今では組み版のほうがよっぽど楽しい。その方がスキルにもなるし金にもなる。スケジュールもよっぽど調整しやすい。

 ここはナマケモノの訓練場所。どうにもモヤがかかったスッキリしないこの頭をどうにかしよう。ナマケモノは考えた。何時からだろう、思い出せなかった。ちょっと前はもっと物事がクリアにみえていたはずだった。だからとりあえず文章を打つことにした。それから次は友だちでも創ってみることにした。

 これは助手のチヨちゃん(仮)。まずはじめに描いてみる。こうしてたまに描ければいいと思う。もう100%イラレで簡単なものしか描けないが。まあ、どうというわけでもない、小学生の自分にならって、人生に宿題を課せよう。かつての意欲とはいかずとも、なんとなくのライフワークになればいいと願う。

 また妖怪でも描いてみるか。何処にも飛び立つことのない飛行訓練。

f:id:flightsloth:20170905003003j:plain