ナマケモノの飛行訓練

記憶のすべてがかすんでみえる。うろ覚えでつづるひこうくんれん。

いわゆる「外国人」のコミュニケーション能力

ゲームをしていたら、知らない方からメッセージが送られてきた。内容からみて、どこかの外国人がランダムでメッセージを送っているようだ。そういうことはたまにあるので無視をしていたが、数日おきに送られてくるので返信することにした。

 —I'm japanese.Lamguage is japanese only.sorry.

これくらいの英語は打てた。さらに真摯な対応をするとなると、かなり頭を使うので、わたしにとっては精一杯の返信内容といえた。

これで大概は終わり。だが、今回はかなりの長文が返ってきた。予期せぬことだったが、ここからちょっとしたやりとりがはじまった。

かなり割愛するが大体の内容はこういう具合。

 —返信ありがとう。暇だったから、ゲーマータグからランダムであなたを選んだの。少し話せる?

 —ごめんなさい、英語はわからないんだ。

 —わたしはちょっと前に恋人と別れて、新しい誰かと話したかったの

 —ごめんね、ぼくは日本人だよ。

 —結婚はしている?歳はいくつ?

ほとんど皆無なわたしの英語の知識では、翻訳機能を駆使しても、彼女(本当に彼女かどうかはわからないが)の言葉はかなりネイティブなスラングが多かったので、お互い理解しているとは言いがたいが、それでも彼女はメールを送り続けた。よっぽど暇だったのだろう。

 —わたしのことは赤毛の女性をイメージしてね

ゲーム内のメッセンジャーなので、これがたとえなにかのトラップだとしても、彼女をブロックすれば済むことなので、それほど警戒する必要はなかった。

それにわたしはほとんどBOTのように「エイゴ、ワカラナイ」としか返信しなかった。

 —ねえ、楽しくない?楽しくないならやめるわ

 —オーケー、わかった、楽しいよ、でも英語はよくわからないんだ。

彼女の押しの強さに負け、わたしは年齢を教え、ちょっとしたプライベートの情報を伝えた。

 —わたしに提案があるの

 —本当に英語はわからないんだ。これは翻訳機能を使って返信しているんだ

 —これから1分間だけわたしのアイコンを自分の写真に変えるから、ちょっと見てくれる?きっとあなたも楽しくなるわ。

そいつはいささか刺激的な提案だった。

だがわたしはその時、スラングの多いそのメールを解読するのに必死であった。彼女のメールをなんとなく理解した頃には、当然1分間などはとうに過ぎ去っていた。しかたがないのでわたしはボッコちゃんよろしく、お決まりの返信をするしかなかった。

 —ごめんなさい、本当に英語はわからないんだ。

ほとんどレスポンスのないわたしに対して、なにが楽しくて彼女がメールを送り続けたのかはわからない。あるいは彼女こそ、マイクロソフトが開発した、ユーザーを喜ばせるための本物のボッコちゃんだったのかもしれない。

 

それはそうと外国人。「外国人」。というとあまりにもざっくり過ぎるが、数ある人種の中の、多くの日本人がイメージするいわゆる外国人(おそらく白人依りのイメージが強いのかも)」。

彼らのコミュニケーション能力の高さには常々驚かされる。

メールの彼女は、わたしがすこしだけ個人的なことを伝えたとたん、なにやら冗談をいったり、奇妙な提案をしてきたりした。

彼ら(いわゆる「外国人」)はプライベートを恐れない。わたしたち日本人はなぜだかプライベートを恐れている節がある。人生は楽しむべきなのに、日本人がそれをいうと、なぜだか少々、「痛い」ように取られてしまいがちになるのではないだろうか。

 

ところで彼らは血液型を極めて個人的な情報ととらえているようで、たいして仲良くもない間柄のひとにはそれを訊ねることはないという。

わたしは血液型占いを信じない。信じるとしたら人類は4タイプにしかならないし(そうかもしれないが)、話題の内容によってはそれを聞かれると、むっとする場面もある。それでもコミュニケーション能力に乏しい他人同士が交わす、数少ない掴みとしての話題としては、いたしかたないことだとは理解できる。

だからといって、個人情報として守りたいものではない。血液型であらわになる医学的な何かはあるのかもしれないが。そうだとしても。

それよりも、初対面で、まあ、対面はしていないが、年齢や配偶者の有無などを聞くほうがよっぽどプライベートな事柄に思える。

あるいは彼らは、対面しているひとに対してのパーソナリティを知ることに関してはグイグイくるが、血液型という、短絡的に4タイプに分類されてしまう情報を話題の掴みに使われることを失礼だと思っているのではないだろうか。

つまり、もっとよくお互いのことを知りあい、それから4タイプに分ければいいと。

だがその推測だと、彼らのほうが、逆に、血液型占いを強く信じているという理論になってしまうが。