ナマケモノの飛行訓練

記憶のすべてがかすんでみえる。うろ覚えでつづるひこうくんれん。

ぬか漬け

一昨日、ひと月あまり毎日せっせと混ぜ合わせ、ついに熟成したぬか床がついに野菜を入れる段階にはいった。

手始めに冷蔵庫にあまっていたニンジンと茄子を埋め、夕べ食した。当然うまかった。だが、やはりまだ若いぬか床は、どこか物足りなかった。それでも、ぬか漬けは大変ありがたい。日本酒のあてならば、常にぬか漬けでも事足りる。

ぬかは誰かが作った違うぬかを混ぜ合わせたりすると、より味が深まるらしい。

ぬか床をもっている友人など、わたしの年齢では未ださすがにいない。田舎町ならば、近所に声をかけさえすれば誰かしらが分けてくれそうなイメージもあるが、都会ではそうもならない。いや、案外勇気をだして聞いてみれば、あるいは、ぬか床なんてわりとありふれたもので、誰でも持っているのかもしれないが。

わたしの日常生活で、ぬか床の話題があがることはまずない。どういうタイミングでその話題を差し込めるのかもわからない。

「ところでさ、ぬか床もってるなら、交換しない?」こうなる会話の、前後関係を想像すらできない。

親しい友人にでもぬか床作成を強引に勧めて、交換することもできるが、それはちょっと違う気もする。それに、仮に、何かを強引に勧めるのなら、最優先にはならないだろう。ぬかは。

だが、この、別にそこまで気にもとめないが、なんとなく、他人のなにか、を必要とすることこそが、有意義なコミュニケーションというものではないだろうか。

他愛のない話題、頼みごとや交換、おすそわけ。現代社会にあきらかに足りないことは、ぬか漬けのようなものなのだろう。

食べきれないかと危惧したニンジンと茄子のぬか漬けは、日本酒とともに、簡単に平らげた。

夕べはカブを漬けた。今夜も楽しみだ。