ナマケモノの飛行訓練

記憶のすべてがかすんでみえる。うろ覚えでつづるひこうくんれん。

いってらっしゃい

三連休さいごの日だったけれど、なんてことのない一日。

ほとんど部屋に籠もっていた。夜にちょっとコンビニへと出歩いただけ。

けれど、それだけで休日の夏の喧騒終わりの残滓というか臭いというか、そんな雰囲気を十分あじわえた。

今は海や山や、ましてキャンプなんて行かなくても、夏をゆっくりと過ごしてゆける。

若いころ、夏になると感じたあの、遊ばなくてはという焦燥感はなんだったのだろう。

たしかに暑いと、細かいことを気にしなくてすむ。短パンにビーサンで出歩くというだけで、単純に気楽な気分にもなる。けれど、それがダイレクトに遊びたいという欲求に結びついていたのはどういうわけか。

出かけずに部屋にいるときに遠くで花火の音が聞こえると、むかしはいてもたってもいられず、何やらはげしい焦燥感を感じたものだが、今はそれすらもむしろ風流だとさえ感じる。

開け放した窓。ときおり感じるぬるい風。上半身裸のわたし。子どもらの走る音。笑い声。店じまい前の飲み屋。手をつなぐ若いカップル。無風。ラーメン屋のナイター中継。太鼓の音。夕方にあびるシャワー。氷のとける音。コインランドリーの灯り。虫の声。

もう、すぐに梅雨はあける。本格的な夏はやってくる。わたしは入道雲を背にニコニコと両手を振り見送りたい。